100マイルダイエット

ちょっと前、NHKBSプレミアムで放送していた「100マイルダイエット」という番組。

カナダ人の夫婦が、家から100マイル以内で取れたものだけを食べて1年間過ごした経験をまとめて出版した本を出したんだそうで、
このドキュメンタリー番組では、カナダのとある街で、同じように100日間過ごすことに挑戦する6組の家族の様子を追っています。

わざわざエネルギーを使って遠くから運んできたものを食べるのではなく、地産地消で環境にやさしい生活を送ろう、ということです。

まず、100マイル以上の距離から運ばれてきた食材を台所から排除するところから始まります。
倉庫の中のものはほとんどダメ。コーヒーはもちろん、ほとんどの調味料、小麦粉、パスタなどの基本的な食材も。
ダメなものを取り出した後には、ほとんど何も残っていない状況でした。

近所で開催されているファーマーズマーケットに出かけて行ったりして食糧を調達し、100マイルダイエット生活をスタートするのですが、
初めのうちはジャガイモと玉子ばかり。

調味料もないため、ある家族は、海に行って塩を作ります。
改めて知る塩の大切さ。

そんなまじめな努力を家族とは裏腹に、普段からジャンクフードばかり食べている夫の身体を心配して参加したという家族は、妻の努力空しく、初日にいきなり夫の裏切りでリタイア。
理由は、仕事がいそがしいから。
他の家族だってみんな仕事はしているんですけどね。

食料品店を経営している夫婦は、自分たちの店でもなるべく100マイル以内で採れたものを出そうと奔走します。

どうしてもお酒が飲みたくなった夫婦は、近くにワイナリーがあることを知り、出かけて行ってワインを調達してきます。
この夫婦、夫の方は議員で、しかも料理は毎日夫のほうがやるという少し変わった人たちでした。

結局、6組のうち5組はなんとか100日を過ごすのですが、終わってから、皆が口を揃えて答えたのは、
これからは食物がどこから来たのか意識をしながら生活していくと思う、ということでした。

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まず塩が必要だ、と気づいて塩を作りにいった家族の奥さんという人は、普段からかなり料理をしているし腕前も相当のものだとなんとなくわかったのですが、彼女はその腕を活かしてどんどん新しいアイデアを生み出し、食生活を豊かにして行くのです。
100日の間に、最初は月1200ドルかかっていた食費も終わるころには半分になっていました。

半分にしたコツは、初めからこれがほしいと思って買うのではなく、売っているものを買って、工夫しておいしいものを食べようとしたらしいです。

彼女は受け身ではなく、とことん能動的で、日々の生活を豊かなものにしようと常に努力したのです。
手に入るものは限られていても、そこからいかに工夫してよりよい生活を送るか。

生きていく力って、こういうことなんだな、と思いました。