東京から美人が消えた?

先日、久米宏が司会をしていた番組「経済スペシャル TOKYOって幸せですか」を(途中からですが)
見ました。テーマは、東京を離れて地方に住む人が増えている、ということでした。
(「東京から美人が消えているという噂は本当なのか」なんていう失礼なサブタイトルでしたが)

面白かったのが、番組の中では、鹿児島と東京の20代の女性に2分間で自画像を描いてもらうと
いう実験でした。鹿児島の方が圧倒的に笑顔を描く人が多かった、という結論でした。

結局、東京に住むのが不幸で地方(地元)に住む方が幸福、みたいなところで落ち着いていました。

でもちょっと待って、と思いました。
東京に住んでいるかどうかじゃなくて、生まれ育った場所(地元)に住んでいるかどうかのほうが、
その人にとっては、よほど大事なんじゃないかと思うんです。

東京に住んでいる20代の人ということでしたが、その中には地方出身の人もいたんじゃないでしょうか?
地方から出てきて頑張って東京で一旗あげて・・・みたいな感覚だったら、そりゃぁ笑顔じゃ
いられないでしょう。

もしかしたら、アンケートに答えた人のうち、笑顔を描かなかった人たちはそんな人たち
なんじゃないでしょうか?
そこのところをもうちょっと掘り下げてほしかったです。

私は、もしかしたら、東京に住んでいるか、よりも、地元に住んでいるかどうか、のほうが
重要なんじゃないかと思っています。


前にも書いたかもしれませんが、東京出身の私としては、みんなが東京と呼んでいるのは、実際の
東京じゃなくて、イメージの中の東京に思えます。
私が育った東京は地面の上で、でも、みんなが呼んでいる東京というのは、そこから1メートル
くらい浮いたところにあるような感覚をずっと持っていました。

大学生になって地方から出てきた友人たちと4年間を過ごしたわけですが、その後も彼らが地元に帰ら
ないのは、一生懸命、その1メートル浮いたところにある東京の住人になろうとしているように
思えてなりませんでした。

私はしばらく仕事で東京を離れていることもありますが、そういう時は、例えば新幹線で東京駅に着いて
駅のホームに降りた時に始めて吸う空気が、明らかに懐かしい故郷のそれだと気づいて安心します。
なぜ鮭が故郷の川がわかるのかが何となく理解できるなあ、なんて思ったりします。

そういう感覚って、地方出身の人だって持っているんじゃないかと思っています。
誰にとっても故郷は懐かしいのでは? ただ、言いたくないだけなんじゃないでしょうか。

ほとんどの人にとっては、生まれ育った地元で過ごした方が現実的にも幸せなんでしょうか。
いざというとき家族に助けてもらえるし、高い家に住んだり混雑した電車に乗らなくてもいいわけですし。


実際、スタジオゲストの”地元に住んでいる20代女性たち”は「地元が良いから住んでいるんです」
ときっぱりと言っていましたし。

一世代前は、テレビ、新聞、雑誌などで流れている情報すなわち正解だとされていましたから
これが理想的なモデルだと提示されたらそれを信じて一生懸命、自分をそれに近づけようとして、
結局みんな同じになってしまい、そうするとますます違うことができない、ということになって
いました。

でも、ITリテラシーが高くていろんな情報を得られて実を求める若い人たちからすれば、
誰かが決めた「東京に行って一流企業に就職して世田谷区に住む」のがかっこいいんだなんて
いうモデルはアヤシイって気づくんでしょうね。
カッコいい生き方はそれだけじゃないよ、って。

東日本大震災もありましたし、これからどんどんそういう方向に進むのかもしれません。
世の中どんどん変わっていくんでしょうね。


これから少しずつでも良い方向に向かってほしいと思います。
とりあえず、来年は今年よりも良い年になりますように。